千葉県立袖ヶ浦高校
http://cms1.chiba-c.ed.jp/sodeko/htdocs/
の情報コミュニケーション学科の授業を観てきた。
公立学校では数少ない、iPadを使った授業を展開している。
先月末に校長より、うちの学校でも導入できそうか、どこまでなら導入できるのかを探ってきてくれ、と指示を受け、いろいろ考えてみた。
考えた結果→ デジタル教科書が普及しない、たった一つの理由
この記事では、袖ヶ浦高校での視察の流れと、そこでどのような説明を受けたのか、を書こうと思う。視察中にメモした事を転記するので、断片的な情報になるかもしれませんが、行間を読んでそれっぽく補完してください。
12月末。本校校長より視察の依頼
ちょっと時間あるときに来てもらえるかな?と校長室に呼ばれる。校長室には何度も行っているが、何回行っても慣れない。緊張する。
ここには詳しく書けないが、本校でもタブレットを用いた授業展開ができないかどうか、模索しているようだ。そこで、近隣の県立学校で成功している学校、袖ヶ浦高校を見てきてくれ、という次第。
視察レポート
本校以外にも4校の教員が視察に来ていた。山形や大阪など、かなり遠方の方もいた。昨日は別の学校を見てきたと言っていた。
9時30分より校長挨拶。ざっくりとした学校説明、及び目標とする教育、導入に至った経緯などの説明を受ける。
校長挨拶の抜粋
- 継続を体感できるような教育をしたい。校長自身、毎日ブログを更新している。 → ほぼ毎日・・・校長
- ICT機器を用いた教育。何のためにやるのか。アプリやデバイスの扱いを習熟させるためではない。コミュニケーション能力や知識の活用能力、主体性を向上させるためである。知識だけでなく、それをどう活用するか、いわゆるPISA型の能力を伸ばしたい。
- いま文科省で言っている、言語活動の充実。ref.文科省のリーフレット このリーフレットの内容はほとんど実践できています。そう、iPadならね。
- タブレットは、教科書やノートなど、何かの代わりに使っているのではない。今まで使っている文房具に追加して使っている。
- 授業中に、その場で色々なことを調べられる。PC室に行かなくても。隣の人の意見が共有できる。そうすることで、他人と意見が比較できる。さらに、自分の意見を認識することができる。
その後、授業見学に。
授業内容の抜粋
- 1年生の「情報コミュニケーション」 という学校設定科目。プレゼン。
- 著作権について。4−5人の班に分かれて、教員が決めたテーマ、例えば商標権について調査し、発表する。テーマは班ごとに違う。
- すでに何時間か時間を取って、授業中に調査やスライド作成などを行っていた。
- Keynoteを使い、視察に来た教員に向けてプレゼン。普段は前のプロジェクターに写してプレゼンをしている。
- PingPong – リアルタイムアンサーチェックシステムや、ednityなどのツールを使って、生徒の理解度を確認。
授業終了後、その場に残って詳細な説明と質疑応答。袖ヶ浦高校に情報コミュニケーション科を導入した永野先生が対応。
永野先生の説明と、質疑応答の抜粋
- スマホなど、便利だがトラブルに→学校持ち込み禁止、という所もある。また、影の部分のみを教え、怯えて使えなくなるのも問題。
- そういったことを、多くの親は学校で教えてほしいと思っている。が、実際にはあまりできていない。
- 100年前から一斉授業という授業のやり方は変わっていない。社会が変わる中、それで良いのだろうか?
- 設備について。県のLANは通信の制限が厳しいから、iPad専用のインターネット回線、フレッツ光を独自に契約して、無線LANを校内に構築した。なので、学校LANや県のLANとは完全に分かれている。
- iPadは自己管理で自己責任。そして本体のカバーは必須。落としてもわりと大丈夫。
- 教科書とノートは紙のものを使っている。デジタル教科書的な使い方はしていない。普通の、一般的な学校の授業に、iPadを追加したイメージ。よく、授業から紙を排除したものだと勘違いされるが、全く違う。
- なぜiPadか。1番まともだから。アプリも多いし。
- 動画を含んだ教材を教員が作って、Dropboxに放り込むと、生徒が勝手に見る。実習とか、実験とか。
- iTunes Uを使って、授業を録画して生徒に公開している。
- iPadは校務では使っていない。教員用のiPadも自費。
- BYOD(Bring Your Own Device)は多くのメリットが。説明とは関係ないが、いきなりBYODって言っても多くの人はわからないはず。
- これをやったから模試の偏差値が上がるか、というとそうではないが、それ以外の能力は高い。PISA型の能力は間違いなく高い。
- 朝の連絡をTwitterでやって、空いた時間で朝学習をやっている。そういう取り組みで、偏差値も上がっていってほしい。
- 運用について。情報コミュニケーション学科、3人で回している。1人は実習助手なので、実質2人。
- 導入について。県から指定を受けて、新学科を設立。あまり予算が付かず。はじめは中学生に敬遠された。何やるかわからないし。でも、宣伝する事によって生徒は確保されるようになった。
- 困っていること。パズドラとLineだけはブロックした。あまりやりたくないが…
- iPadを買う事に対する保護者のクレームは無い。この手の教育活動に理解がある親が多い。
視察の内容はこんな感じでした。
長くなったので、考察や突っ込みは次回にします。